MAPSが示す「正しい」画像とズレの吸収
TRIANGULATION BLOGで取り上げられていたKim AsendorfさんのあたらしいプロジェクトMAPS.MAPSはGoogle Mapsを抽象的な画像にしてしまう.
ズームアウトしてみているとそこには確かに地図が現れているのだけれど,ズームインしていくとだんだんと抽象的な画像になっていく.この抽象的な画像が何かに似ていると思ったら,ラファエル・ローゼンダールさんの作品だった.「ベクター画像」のような鮮明さが似ている感じをつくっている.
ただMAPSでは地図を拡大するときに,ときおり「ラスター画像」になるような感じがする.実際は「ラスター画像」と「ベクター画像」が入れ替わっていないちがう方式で拡大しているのかもしれないけれど,スムーズに拡大しているときに現われる一瞬の「不鮮明さ」は興味深い質感を示している.拡大前と後の画像に生じるズレを吸収して「正しい」画像を提示しているというところだろうか.ここでの「正しさ」とは地図を明確に示すという目的のためのプログラムに基いているということであり,その意味では一瞬見える不鮮明な部分も「正しい」画像ということになる.しかし,その画像を見ているヒトにとっては,その切替のプロセスが「ズレの吸収」に見えてしまう.