MAPSが示す「正しい」画像とズレの吸収

TRIANGULATION BLOGで取り上げられていたKim AsendorfさんのあたらしいプロジェクトMAPS.MAPSはGoogle  Mapsを抽象的な画像にしてしまう.


ズームアウトしてみているとそこには確かに地図が現れているのだけれど,ズームインしていくとだんだんと抽象的な画像になっていく.この抽象的な画像が何かに似ていると思ったら,ラファエル・ローゼンダールさんの作品だった.「ベクター画像」のような鮮明さが似ている感じをつくっている.


ただMAPSでは地図を拡大するときに,ときおり「ラスター画像」になるような感じがする.実際は「ラスター画像」と「ベクター画像」が入れ替わっていないちがう方式で拡大しているのかもしれないけれど,スムーズに拡大しているときに現われる一瞬の「不鮮明さ」は興味深い質感を示している.拡大前と後の画像に生じるズレを吸収して「正しい」画像を提示しているというところだろうか.ここでの「正しさ」とは地図を明確に示すという目的のためのプログラムに基いているということであり,その意味では一瞬見える不鮮明な部分も「正しい」画像ということになる.しかし,その画像を見ているヒトにとっては,その切替のプロセスが「ズレの吸収」に見えてしまう.


このブログの人気の投稿

インターフェイス再考:アラン・ケイ「イメージを操作してシンボルを作る」は何を意味するのか.

インスタグラムの設定にある「元の写真を保存」について

マジック・メモ:行為=痕跡=イメージの解体可能性

画面分割と認知に関するメモ

マウスとトラックパッド /

矢印についての寄せ集めメモ

メタファーと身体の関係

「ユリイカ2025年6月号 特集=佐藤雅彦」で佐藤雅彦さんへのインタビューの聞き手をしました

「サブシンボリックな知能」と Doing with Images makes Symbols

スケッチパッドで描く、ふたつの手(1)