ここ5年くらいで考えていきたいこと🧠📖
[ note に書いたものの転載.ひとつの区切りとしてBloggerにも載せておきたいと思った🥸] 小説とメディアテクノロジーとを絡めて論じるN・キャサリン・ヘイルズは,ヒトとコンピュータとをともに世界を解釈してあらたな意味を生み出していく「認知者(Cognizers)」という存在と捉え,物質や無生物の「非認知者(Noncognizers)」と区別している.そして,認知者は「意識のモード」,「非意識的認知」,「物質的プロセス」という3つの部分で構成されたピラミッド型の「認知のフレームワーク」で世界を認知しているとされる.ピラミッド最上部の「意識のモード」は意識と無意識とで構成されており,私たちが通常想定する「意識」となる.その下にある「非意識的認知」は,予測に基づいた推論で構成される内部モデルを形成して,意識にのぼる前の膨大な情報を処理しているとされる.私はヘイルズの「非意識的認知」という言葉にある「非意識」という領域が,ヒトと世界との関係を考える際に重要になってくると考えいる.例えば,ヘイルズはコンピュータの情報処理は非意識レベルのものだと指摘する.このように考えると,ヒトとコンピュータはともに「認知者」として,「非意識」レベルでインタラクションしていると想定することができる.そこから,膨大な言語データにおける単語のつながりの強さを「注意」の値として処理した大規模言語モデルが確率的に並べていく文字列に,ヒトが意味を見出してしまうのは意識に上がらない「非意識」レベルでのつながりがあるからだと考えられるようなる. では,非意識とは何なのか.ヒトの認知プロセスで考えるとそれは脳がつくる世界の「予測モデル」だと言えるだろう.哲学者のヤコブ・ホーヴィは『予測する心』で「脳は予測誤差を最小化する」器官だと主張する.外界の情報を眼や耳などの感覚が受け取り,脳が世界についての予測モデルをつくっていく.そして,脳は予測モデルと外界そのものとの誤差を最小化していくことを目指して,知覚して,行為をしていく.脳は外界を直接見ることも聞くこともできないので,眼や耳などの感覚センサーから得た情報から世界のあり方を予測するしかない.私たちは生まれてきてから死ぬまで外界から情報を得て,予測モデルをつくり,修正し,アップデートして,その誤差を最小化し続ける.予測モデルと外界とのあいだで最小化され...