ICCで
ucnvさんの展示を見てからグリッチがまた気になり始めた.現在の画像を考える上でとても大きな手がかりを示していると思う.表現にファイル形式が大きく影響するというか,その表現をファイル形式が規定しているところ.しかも,「正常」に見えている時よりもファイル形式のちがいが際立つというところが面白い.
ある写真のオリジナルから派生,変化した多数のさまざまなヴァリエーションが展示されています.それは,オリジナルに近いものから,同じ写真とはまったく認識できないほどの変化にいたるまで,その状態は多様です.これらの写真には,コンピュータの画面でときどき見かけるような,画像がうまく適正に再現されなかった状態と同じことが起こっています.すべてが,もともとは同じ写真,つまり同じイメージを持ったものでしたが,それぞれに異なるのは,その画像のデータ形式です.同じイメージを表示していても,その画像データの形式が異なっているために,データに欠損を生じた際の現象,表示された状態に差異が生じているのです.
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2013/Openspace2013/Works/Tab_Glitch_j.html
ICCのページにある解説文を読むと,そこにはグリッチとともに最近気になっている「オリジナル」という言葉が書かれていた.ここでの「写真のオリジナル」というのは「見え方」がオリジナルということになるであろうかということを考えた.「見え方」は同じでもファイル形式が異なる場合,どれがオリジナルになるのであろうか.
グリッチに「オリジナル」はないのか? すべてがオリジナルなのか? 大量の同一モチーフのグリッチを目の前にすると不思議な感覚になる.
ICCでucnvさんの作品を見ながら書いたメモ
RAW,PSD,JPEG,GIF,PNGなどなど.これらのファイル形式にグリッチという現象が起こると,画像がそれぞれファイル形式に特有の「破損」が起こる.「破損」が起きたもののほうが,そのファイル形式が際立つので唯一無二の「オリジナル」と思ってしまう感じもある.でも,そのファイル形式は「説明」がないとわからない人がほとんどだと思う.
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.jpg |
そして,
Kim Asendorfさんがファイル形式に着目して「
ExtraFile」というものを作ってしまったのもとても興味深い.「ExtraFile」で用意されているファイル形式で保存すると「グリッチ」のようになるもあるし,あまり変化しないものもある.でも,それは予め用意された形式での保存だから,グリッチが意味する「データの破損」とは異なり,「正当」な手順を踏んでいる感じがする.でも,画像は壊れたように見える.
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.jpgをExtraFileで4つの形式に保存 |
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.4bc |
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.cci |
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.bascii |
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Screen Shot 2013-07-22 at 9.07.22 PM.mcf |
「ファイル形式」から画像を眺めるというか,何を見ているのかいまいちよく分からない段階なんだけれども,これまであまり気にしなかった,気にすることができなかった部分をグリッチという現象や「ExtraFile」は見せている感じがする.