時間感覚の一致 /

河津

Wiiリモコンを振るとき、
振りはじめてから、振り切るまで
ほんのわずかですけど時間が生じますよね。
岩田

ボタンのオン/オフだと一瞬ですけど。
河津
でもWiiリモコンを振ると、
その時間感覚と画面に表示されている時間感覚が一致するので
よりシンクロ度が高まっていくことがわかってきたんです。
そこで、実際につくっていくと、カラダを動かすことで
その時間が主人公の動きと一致するという、
そういった感覚がすごく感じられるようになりました。
 リアルタイムな『ファイナルファンタジー』
この指摘は,マルチタッチ・ジェスチャーにも通じるところがあるかもしれない.何かしらの生物がメインキャラクターになっている,ゲームにおいては,ユーザとキャラクターとの一致,河津さんが言っている「時間感覚の一致」が体験しやすい.では,キャラクターがいない,コンピュータのインターフェイスではどうか.ここでも「時間の一致」を感じているのだろうか?


あくまでも感覚でしかないのだが,ジェスチャーの方は,ディスプレイ上のイメージの動きと手の動きが結びついている感じがする.Expose で複数のウィンドウが動いているときに,それぞれの動きと手の動きが連動している感じ.ボタンで Expose を行うと,ボタンを押した後のウィンドウの動きは,コンピュータがやってくれているという感じ.自分とは関係のないものと思っている.だから,ジェスチャーでやったときは,手を手前に引けば引くほど,ウィンドウが小さくなるのではと,意識の片隅で思っている.ボタンのときは,ウィンドウの動き,所定の位置に停止すれば,それはそれでお終いという感じ.

物理的なボタンを押すという感触と,ディスプレイ上のイメージと自分の手とが連動しているような感触.今までは,物理的なボタンを押す感触しかなかったわけだから,イメージと自分の身体との連動するという感覚によって,ボタンを押すということが相対化される.ボタンを押して,何かをするというか,「何かをしまくる」と言った方がいいと思うのですが,ボタンを押しまくって,いろいろな行為をしている私たちにとって,ヒトの歴史の中で,ボタンを押すということがどういう意味を持つのかも,ハイデッガーのように悲観的ではない形で,マルチタッチ・ジェスチャーを考えていくとうっすらと見えてくるかもしれない.もちろん,ボタンを押す行為の意味を理解することによって,マルチタッチ・ジェスチャーの意味も分かってくるはずです.

近代人が,タイプライター「で」打ち,このタイプライター「に」「書き取らせる」[diktiert](これは「作詩」[Dichten] と同一語である)のは,偶然ではない.書き方の歴史は,また,語の破壊が増大する,一つの主要な根拠なのである.語は,もはや本来の行動する,書く手を通してではなく,この手の機械的な印字を通して,次々と入れかわる.タイプライターは,手の,つまり語の本質領域から,文字を奪う.語それ自身は,何か「タイプライターで打ったもの」になるのである.これに反して,タイプライターで打ったものは書き写したものにすぎず,書かれたものの保存に役立つか,もしくは書かれたものの「印刷」の代用をするだけであり,そうした場合に,タイプライターは,その固有の,限定された意義をもつのである.タイプライターが最初に支配した時代にはまだ,タイプライターで打った手紙は,礼儀にそむくものと見なされた.今日では,手書きの手紙は,急いで読むことを妨げる,そのため古風で,望ましくない事柄なのである.機械によって書くことは,書かれた語の領域において,手から地位を奪い,語を一種の交通手段に格下げする.それに加えてタイプライターで打ったものは,筆跡を覆蔵し,したがってまた性格を覆蔵するという利点を提供する.タイプライターで打ったものにおいては,すべての人間が,同じように見えるのである.(p. 138)
パルメニデス:ハイデッガー全集 第54巻
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