思考実験:念力でものを動かす

思考実験.例えば,マウスを右に動かすと思ったら,マウスが右に動く.手を使わずに,ただ動くだけ.念力とよばれているやつ.実際,今やってみても,マウスは右に動きません.ブレインインターフェイスが開発されて,試してみたとします.右へ,マウス右に動く.おおすげぇ,と思う.ペン,右手に.ペンが右手のところにくる.これは,脳の中で,ひとつの文が作られて,それに対応しているように思える.となると,二つのことの同時に行うことはできないのはないか.僕は,ふたつの文を同時に書くことも,話すことも,思うことも,今のところできない.でも,身体は,右手と左手で違うことが,同時に出来たりする.そのとき,どんな文が脳の中にあるのか.

いや,頭の中に文が生じないとモノにアクセスできないと考える自体が間違っていると言われるかもしれない.もっとイメージで考えているのだと.でも,イメージで考えるとしても,やはりひとつずつものを動かすことしかできないのではないか.でも,イメージに頼らなくても,「すべて」とか「あのへんのもの」とか考えれば,一度に多くのものを動かすことができる.イメージで広い領域をとらえて,その中にあるものの動きを同時に考えることができば,同時に,並行的にものを動かすことも可能かもしれない.でも,モノを動かすとなると,なぜか,脳の中に,命令形がうかぶ.ペンを右へとか,そこの文鎮こっちへとか.

なんか,考えるということが,何かを同時に動かすときにボトルネックになってきているような気がする.考える=意識にあげることが,多くのものを同時に,各々異なる動きをつけることを不可能にしているような.脳の中だけだったら,同時にバラバラに動くものを意識できているような気がする.けど,それを現実と結びつけるとなるととても難しい.目の前にある積み木が個別に動くように意識してみても,それは個別に動くもののそれぞれの動きを全体としてひとつにまとめたものを意識しているような気がする.

ここまで考えてきて,なんかマウスとカーソルのつながりと,マルチタッチ・ジェスチャーのカーソルとは関係がなくなった,カーソルが全く動かずにディスプレイ上のイメージがいろいろと動くことが,思い浮かんできた.別にマウスでなくても,トラックパッドの方がいいのだけれど.1本の指のときは,カーソルと連動している.カーソル右へと指を右に動かすとカーソルが右に動く.で,2本の指でジェスチャーをすると,カーソルが動かず,スクロールとか回転とかが起こる.個別の指の動きを全体として取られて,ディスプレイ上のイメージに反映させる.コンピュータからしてみれば,なんか「それは個別に動くもののそれぞれの動きを全体としてひとつにまとめたものを意識しているような気がする」のではないだろうか.でも,ジェスチャーとディスプレイ上のイメージの動きとは一対一対応だから.何か同時に,しかも個別に動かしているわけではないのか.僕たちの意識も,一対一対応で考えているか.でも,そのときに,今まで指と連動していたカーソルが突如動かなくなることが,興味深い.

意識でものを動かすことに戻ると,これもまた一対一対応で動かしていて,一体n は無理.と考えていると,身体を動かすというのは,脳からの単一の指令だけで動いているのではなくて,おそらくその他の指令体系もあって動いているのだなあと,なんとなく納得してしまった.じゃないと,同時に手足を動かしたりすることはできないのではないか.手足の動かしかたがパターンとしてひとまとまりになったものが,いっぱいあって,それの組み合わせで動いているとすれば,脳からの単一の指令で動けるかもしれないけど,それは組み合わせの多さから不可能かなと.

あと,右へ動けとしたときの,右への動き方はどうやって決まるのか.それまで意識しないと思った通りには動かないのだろうけど,そこまで意識していたら,というか,どうやって動き方を意識するのか.そうなると命令文では無理で,イメージでということになるのか.

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