2014年の振り返り

2014年にはこの投稿を含めて76本の記事を書いています.2013年が95本だったから,結構減ってしまいました.それは4月から甲南女子大学文学部メディア表現学科で働くようになったからもしれないし,単に怠けていただけかもしれません.



今年1番の研究上の出来事は,11月にドバイに行ってISEA2014に参加して「インターネットヤミ市」について発表してきたことです.アートの世界には「ポスト・インターネット」といって「リアル」と「インターネット」とが重なり合う部分にあたらしい価値を見出そうとするムーブメントがあるのですが,「重なり合っている部分」だけに注目するだけいいの? というのは「インターネットヤミ市」の考察を通じて言いたかったことです.重なり合っている部分はもちろん重要だけれども,その重なっている部分の「インターネット」はだいぶ「リアル」に侵食されてきているインターネットでもあります.DISはリアルの侵食を「インターネット」から押し返しているのですが,IDPWは「リアル」と「インターネット」との重なりの外にある「インターネット」をリアルに落としこんできて「インターネット的」な感覚をつくっているところが面白い,というような発表をしました.

これからどうなるのかわかりませんが,DMM.makeで「インターネット・リアリティ・マッピング」という連載をしました.JODI,エキソニモ,ライダー・リップスの分析をこれまでしてきました.

また,今年度もメディア芸術カレントコンテンツで月1くらいのペースでメディアアートの紹介してきました.

[2013年度]
[2014年度]

他には,セミトランスペアレント・デザインの田中さんに声をかけて頂いてJAGDAでトークをしたり,デザイン雑誌の「アイデア」に「ポスト・インターネット」について書かせてもらったりしました.また,大学の同僚の馬場先生に誘われてシンポジウム「デジタルメディア時代の視覚と世界変容」で発表もしました.

相変わらず学術論文は書けてないし,「著書」もない状態なので,来年はこれらが出せるように頑張れればいいなと思っています.

あと,「2013年の振り返り」に,

来年は,センボーさんが書いてくれたことやエキソニモの作品から,ヒトとコンピュータとの隙間に宿る「スピリチュアル」を,それが発現する/それを見出す条件を考えていければいいなと思っています.「おばけ」でも「ゴースト」でもなく「スピリチュアル」という言葉がもつ雰囲気を大切にしつつ,それは「おばけ」や「ゴースト」との差異化も含めて考えていきたいです.

と書いていてのですが,今年は多くの時間を「インターネットヤミ市」を中心にした「ネット」と「リアル」との関係の考察に費やしてしまったので,「スピリチュアル」は全く考えることができませんでした.でも,ISEA2014も終わったので「スピリチュアル」について考えることを再開しています.「スピリチュアル」という言葉って,あやしいけど,だからこそ,ヒトとコンピュータとの関係に必要なんじゃないかなと思っています. 

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