#bction #10Fを裏返すことはできなくて,≋wave≋ internet image browsingは裏返すことができるのかもしれない
≋wave≋ internet image browsingについて書こうとして,なかなか書けないでいる.お酒の力を借りないと書けないのかもしれないし,頭のほとんどがインターネットヤミ市を考えているから書けないのかもしれない.Bctionのエキソニモの作品#bction #10F も≋wave≋ internet image browsingともに書きたいだけれど書けないまま,こちらも会期が終わってしまいそう.
Yang02の作品に勝手に触って落書きした人、敬意とモラルを持ってください。 #BCTION pic.twitter.com/8iw3dMQDtt
— HouxoQue™ (@QueHouxo) September 5, 2014
今回のYang02の作品への落書きは明らかな破壊行為だし、本当に悲しい。だが、そういうことをする人がいるというのも事実なわけで、それにどう対応していくかが大事やな。 #BCTION
— HouxoQue™ (@QueHouxo) September 5, 2014
#bction #10F ではYang02さんの作品への落書きと「レイヤー」の移動ということが気になっている.#bction #10F はいろいろな階を重ねてしまうし,#bction 以外の画像も重なってくるから,単にビルの階層だけではないものが重なりまくっている.そのアナーキーさがいい感じなんだけれど,さらに,いかに重ねまくっても,リアルの展示には何も影響がないというのはちょっと違って,この作品を一回体験するとリアルの展示を見る際にどこか#bction #10Fのための素材としてしまっている意識が生じるという意味ではリアルに作品に影響を与えているが,Yang02さんの作品への落書きのように展示がリアル破壊されなることはない.非破壊的編集という感じである.ヤンツーさんの作品に落書きされてしまったように,リアルでの落書きは破壊的行為なわけだけれども,#bction #10F では非破壊的落書きがやられている.これはアナーキーでかつ平和な感じがする.
bctionの展示に落書きというのは10Fと1〜9Fのルールが区別つかなくなってるということかしらん。10Fで遊んでいるとしてしまう気持ちはわからないでもない、絶対的にマナー違反だけど
— ゾンビタロット占い師 TAZN (@tazn246) September 5, 2014
#bction #10F で画像を重ねてつくった画像は,どの階にも属していながら,どこにも属さない10Fにある.10Fがあるということ.リアルの展示を見ているときも,見ていないときも10Fは存在する.#bction #10F があるという感じは,一度#bction #10F をやると意識のどこかにある感じになる.リアルとネットととが一度同期すると,それ以降の意識のありかたが変わる.一度変った意識はそれ自体がひとつのレイヤーになって#bction #10F の見方も変えていくし,bctionの見方も変えていく.どんな風に変えていくのかはわからないけれど,とにかく変えていく.私たちの意識は単体だけはたらいているのではなく,環境とともにあるわけだし,特に今はコンピュータとの関係で変わっていくだろう.iPhoneをもって,Instagramに画像を上げることを意識しながら,bctionを見ていると,私たちの意識は,bction, Instagram, iPhone のすべてから影響を受ける.そして,私たちの意識もbction, Instagram, iPhone に影響をあたえる.これらの意識の総体に#bction #10Fが同期していく.そうすると,これらすべての意識が変わっていく.bction, Instagram, iPhone(もしくはAndroid), #bction #10F がその位置を入れ替えながら,見ている人の意識に作用していく.そして,見ている人の意識もこれらのレイヤーに入り込んで,上下に移動していく.そして,このレイヤーの移動と意識の変化は存在しない10Fとともにすべて非破壊的に行なわれる.
bction, Instagram, iPhone(もしくはAndroid), #bction #10F のレイヤーは,それぞれ少しづつ隙間をつくりながら重なっているイメージ.#bction #10Fがつくる画像は隙間なく密着している感じがあるが,シャフルによって色が変わっていくさまを見ているときは,重なっている3つの画像のあいだには少し隙間があるような感じする.決定すると,その隙間はそれが持っていた情報を保持したまま,密着してひとつの画像=レイヤーような感じがする.psdからjpegになるとすべてのレイヤー情報がなくなってしまうが,レイヤー間の情報は活かされて見えている画像はだいたい同じに見えるという感じであろうか.
≋wave≋ internet image browsingはこの画像が「密着」した感じがした.「密着」という言葉は,この展示をキュレーションした上妻世海さんが言っていたので,それを借りてきている.「密着」という言葉から≋wave≋ internet image browsingを考えると,会場の空間に掛けられた「布」が展示を読み解く鍵のように思えてくる.いや,これは後知恵で,上妻さん自身が今回の展示では「布」は必ず入れたかったと言っていた.展示に必ず入れたかった「布」と「密着」という言葉を合わせて考えてみると,この展示と上妻さんの思考が少しわかってくるかもしれない.
布にはネットっぽい画像がプリントされていた.プリントというのは画像と布とが密着した状態になっているから,布がシワシワになっていると画像もシワシワになっている.画像がオブジェクトになっている.上妻さんもそんなことを言っていたような気がする.モノとしての布を考えるとそこには「表と裏」がある.裏から布を見ると表のプリントが透けて見える.刺繍だと裏は表とちがう,プリントでも表と裏は完全には一致しないが,裏からは表のプリントが透けて見える.それは表と裏が密着しているからだろうか.「表と裏が密着している」とは考えない.布には表があり,裏がある.モノには表があり,裏がある.Photoshopのレイヤーには表も裏もない.しかし,レイヤーを意識したあとに布を考えると,そこには表レイヤーと裏レイヤーという2つのレイヤーが,いやそれは表でも裏でもなく単に2つのレイヤーが密着しているように思える.それは「両面」と呼ばれる.「両面」という言葉が,≋wave≋ internet image browsingに対して何か意味をもつのかはわからないけれど,この言葉は≋wave≋ internet image browsingと#bction #10Fとのあいだのちがいのように思える.
レイヤーを裏返すことはできないが(もしかしたらできるのかもしれないけど,私は裏返したことがない),布は裏返すことができる.#bction #10Fを裏返すことはできなくて,≋wave≋ internet image browsingは裏返すことができるのかもしれない.ネットとリアルという2つの世界は,そのあいだに隙間があるときは,その関係を裏返すことはできない.単に2つの世界の位置関係がかわるだけで,それはくるくるといつまでも回り続けることができそうな感じがする.ネットとリアルとが密着すると,それは裏返すことができる.裏返すのも「くるくる回る」のと同じような感じがするが,少しちがう感じがする.でも,その「ちがい」が何なのか,よくわからない.