上海での発表を終えて,帰る飛行機の中で書いたメモ
上海では,エキソニモ《断末魔ウス》を用いて,コンピュータの中の「魂(spirit)」というものがあるのではないかということを発表した.思ったよりもウケが良かった.日本ではほとんどもらえない発表へのリアクションが結構あったので,それだけでも上海まで行ったかいがあった.
コメンテーターの先生からは,キャサリン・へイルズらの「ポストヒューマン」との関係を問われた.ヘイルズの「ポストヒューマン」は理念的な感じがするのに対して,ヒトはカーソルという日常的に慣れしたしんだ存在に寄り添うことで,既に「ポストヒューマン」になっているのではないかということを答えた.もっと端的にいえば,ヒトはカーソルになっている.タッチパネルを考えると,GUIのカーソルを経て,ヒトの指自体がカーソルになっている.こんな感じで,ヒトはトランスフォームしていくのかもしれない.
ヘイルズの「ポストヒューマン」の本の内容はほとんど忘れてしまったので,お正月に読みたいなと思いつつ,「ポストヒューマン」の基本的文献をおさらいして,来年度の講義で考えてみたい.その際に,コンピュータが持っている「ハイブリッド」や「キメラ」という怪物性・異質性みたいなものと,ディスプレイ上でヒトの意識の依代にもなっているカーソルとの関係も探ってみたい.