safari 5.1|← →|chrome 15 beta
safari のウェブページを進めたり戻したりするときのアニメーション.指に吸いついてくるような感じで,ウェブページをスワイプすることができる.「進む・戻る」ボタンの矢印とは逆の方向に指を払うことになるのだけれど,そんなことは関係なしにすんなり受け入れることができた.アニメーションを入れることで,指とページがつながり,ページが自分の延長となっているような感じだろうか.
chrome も2本指のスワイプでページを戻したり進めたりできていたのだけれど,今まではアニメーションなどの手がかりがなかったので,とても違和感があった.3本指でのスワイプでは「進む・戻る」ボタンの矢印と同じ方向に指を払えばよかったのだけれど,2本指では逆になる.どっちがどっちかわからなくなることがよくあった.それが chrome 15 beta では,2本指でスワイプする時に「進む」なら「→」,「戻る」なら「←」が画面の中央くらいに表示されるようになった.
矢印の表示が指の動きとは別の方向を指し示していることは変わらないが,自分が何をやっているのか迷わなくなって,断然使いやすくなった.手の動きと矢印の方向の一致よりも,アニメーションで動く矢印が示す方向に私の意識は向かっているのだろうか.しかし,上の映像のように手の動きと独立したかたちでみると,矢印の動きとその向きが逆になっていることに何となく違和感を覚える.矢印の向きよりも,指と矢印のアニメーションが一致していることが重要なのかもしれない.自分の身体として矢印を捉えて,思考は「←」もしくは「→」が示す向きに制御される.身体と思考とのあいだに微妙なズレがあるのだけれど,身体とアニメーションによって動く矢印とが一体化することの心地よさによってズレが回収されている.そうして,ページは自分の延長となる.
safari はページを直接操っているような感じを身体と一体化したアニメーションで 作っているが,chrome は何だろうか.今までの3本指でページをスワイプしているのとも違うし,もちろん safari とも違う.iPhone のロックを外すような感じが一番近い気がする.ここではロックを外すのではなくて,ページを進めたり戻したりしているのだけれど.いや,一回一回ロックをはずして,ページを進めたり戻したりしているのかもしれない.そんな気がしてきた.とても回りくどいけれど,なんとなく気持ちよくて,現実を模したものではないオリジナルなページの進む・戻るを chrome 15 beta は実現している.