「平面|カーソル|薄さ」に関するメモ

「薄さ」を考えると,すぐに思い浮かぶのがマルセル・デュシャンの「アンフラマンス」.避けては通れないけれど,触れると火傷するような概念でもある.けれど,もしかしたら,アンフラマンスとテクノロジーという関係が成り立つのではないだろうかと思う.いや,アンフラマンスではない言葉,概念を見つけるというか,成立させることが求められている.

コンピュータの世界と物理法則の世界との関係に回収されない概念を見つけること.このことを考えると,カーソルというのは,コンピュータの世界にも物理法則の世界にも回収されないひとつの概念ではないだろうか,と考えたくなる.どちらの世界にも属し,どちらの世界にも属さないあいまいな存在・概念としてのカーソル.

カーソルが作り出しているディスプレイ上の薄い平面.カーソル自体が活動するために必要な「薄さ」.横から眺めることができない「薄さ」.横からも,斜めからも眺めることができないできない平面.それゆえに,そこの「薄さ」は確かめることができない.けれど,「薄さ」を感じてしまうような平面.

ひとつの動く記号自体が,平面であること.平面の上に記号が乗っているのではなく,記号自体が平面であること.地も図もなく,それらがあいまいなっている平面.斜めからも,横からも,その存在を眺めることができないがゆえに,平面と認めざる得ない平面であり,それを構成する記号とその薄さ.

ひとつの埃が動くことで,半透明な薄さを作り出すようなものであろうか.埃は積もることで,半透明な感覚を作り出す.カーソルは,それ単体で半透明な感覚を作り出す.埃という集合体のヴェールの薄さと,カーソルという単体の記号による薄さ.

埃に指で触れると,埃がなくなる.埃がなくなった指のあとは,なんとなく落ち着かない.せっかくの埃のヴェールを壊してしまったという後ろめたい感覚.薄さを突き破ってしまったという感覚.カーソルは,薄さを作っているという感覚.カーソルを動かすことで,ひとつの薄さが生じる.薄い平面が,ひとつの平面の上に重ねられる.カーソルが動いた箇所に,埃の上で動かした指の跡のような居心地の悪さはない.

いや,カーソルが風車になっているときの,何もできなさ感じの居心地の悪さはある.下の平面上にある記号にアクセスできなくなる,これもまた記号であり,平面を作り出すカーソル.自らが作った平面の薄さを突き破ることができなくなるカーソル.

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