「現実世界|カーソル|仮想世界」に関するメモ
現実世界とは,物理法則に則った世界の在り方を指している.仮想世界は,コンピュータで作られた世界の在り方を指している.この二項対立的な世界の捉え方は単純すぎるかもしれない.カーソルは,このふたつの世界の在り方に対する認識のモードを切り替え,移行させる存在として,私たちの認識の最前面に位置しているのである.カーソルが世界の在り方自体を変えることはない.だが,カーソルは世界の在り方を,人間の側での認識のモードで移行可能なものにしてしまうのである.
「現実世界|カーソル|仮想世界」に関するメモを非常勤先の大学に行くときに書いていて,そのメモと似ているというか,念頭に置いていたのが,下の文章.そして,下の文章を読んで,さらに書き直したのが上の文章.
繰り返されない変化に関わるモードを物語と呼び,繰り返される変化に関わるモードのことをゲーム,とここまで呼んできた.この二つのモードは世界のありよう自体に関わるものではない.世界のありよう自体についてではなく,世界のありようについての認識のモードなのである.それゆえに,ある状況がゲームでありうるか,物語でありうるのか,ということは容易にスイッチしうるのだ.(p.263)井上明人「ゲームと物語のスイッチ」in PLANETS VOL.07