インターフェイス再考:アラン・ケイ「イメージを操作してシンボルを作る」は何を意味するのか.
.review にテキストを書くために,昔発表したものを改めて読んでみた.カーソルについては論じていないけど,GUI が担っている思想的背景みたいなものを自分がどのようにまとめたかを確認できた.このときは「カーソル」という存在をまったく見落としていたので,ここからどうカーソルと関係させていくか. -- イメージ操作シンボル View more presentations from Masanori MIzuno . インターフェイス再考:アラン・ケイ「イメージを操作してシンボルを作る」は何を意味するのか. 1.はじめに アラン・ケイが提唱したスローガン「イメージを操作してシンボルを作る [Doing with images makes symbols] 1 」は,現在のグラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)につながるアイデアを簡潔に表現し,GUI の開発に大きな影響力をもった.ケイのスローガンは,ヒトとコンピュータとのコミュニケーションをどのように変えたのであろうか.現在,世界中に,GUI を実装したコンピュータは数えきれないほどあり,私たちはそれを使って日々の作業を行っていることから,ヒトとコンピュータの関係の変化は,ヒトのコミュニケーションそのものへも影響を与えているのではないだろうか.本論考では,上記のことを考えるために,まずは,一般化した GUI がどのような影響をもっているのかを確認するために,東浩紀とシェリー・タークルの議論を考察する.次に,ケイが,どのような影響のもとで,上記のスローガンを掲げるに至ったのかを明らかにする.最後に,スペルベルとウィルソンの「関連性理論」を参照して,GUI が私たちに提示したコミュニケーションの手段を考える. 2.インターフェイス的主体とブリコラージュの再評価 哲学者の東浩紀は,『サイバースペースはなぜそう呼ばれるのか』の中で,現在のユーザ・インターフェイスの主流を占めている GUI について興味深い議論をしている.東は,ジャック・ラカンとスラヴォイ・ジジェクの精神分析の理論をもとにして,シェリー・タークルが1990年代のコンピュータ文化を特徴づけるために用いた「at interface va...