意識にのぼらない形・切り取られる「形」

爪が伸びてくるととても違和感を感じる.だから咬んでしまう.ある閾値を超えると,突然爪が伸びていることに,体中がムズムズしてくる.このムズムズは,身体の中のお腹のあたりから起きてきているように感じられる.ムズムズしてきて,爪を咬む.自分を咬んで,そして,咬みきる.まったく気にもしてこなかった爪を突然意識し,咬みきるという一連の流れの中に,僕は入れられる.僕が一連の行為の流れをつくり出すというより,爪が勝手に伸びて,閾値を超え,それに対して訳もわからずムズムズし,知らないうちに爪を咬み,いけないと思いつつも咬みきってしまう.「いけないと思いつつ」も行ってしまっていること.今,爪を意識してみて,爪と爪とを会わせたり,爪で爪を弾いたりしているけれど,全然ムズムズしない.爪がしなったりするのが,気持ちよい.咬もうとも思わない.身体でいつ,どこで,なにが気持ちよい・わるいは,意識できないことなんでしょう.徹底的に意識できない身体だから,可塑性をもつ? ある一定まではとても柔軟というか気持ちよいままで,閾値を超える「形」を形成し,その「形」に対してムズムズする.ほとんど液体でできている身体は,不定型なままでいたいと思うのか.でも,「形」を意識をムズムズして,爪を咬みきることで,いつもの同じような爪の長さ,形を保つことになる.いつも同じ形を保つことで意識にのぼらない形.でも少しずつ変わっていて,それが閾値を超えると急に意識され,切り取られる「形」.

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