ようこそOZの世界へ OZは,世界中の人々が集い, 楽しむことができるインターネット上の仮想世界です. アクセスはお持ちのパソコン,携帯電話,テレビなどから簡単に行えます. では,これからOZの世界を体験してみましょう. グレーゴルの苦悩とOZの楽しさ 「OZ」は,映画「サマーウォーズ」に登場したひとつの仮想世界です.OZに住むためにはアカウントを登録して,自分の分身となるアバターを設定する必要があります.OZの説明では次のように言われています.「まずはあなた自身のアバターを設定しましょう.アバターとはOZ上でのあなたの分身です.服,ヘアスタイル,尻尾などあなたの思うままに着せ替えできます.かわいいアバターができましたね」この説明とともに,画面上でははじめに白いヒト型のアバターが提示されて,それを頭,胴体,足といった順番で自分の好きなかたちにしていく様子が描かれています.ここで行われているのは,仮想世界上での自分を作ることであり,それは自らの身体をデザインすることでもあります.自分の身体をデザインするとは少しおかしな感じです.持って生まれた身体ではなく,ゼロから自分の身体を作る機会をもつことは,今までなかったことです.けれど,自分の身体をヒトのかたちではないものも含めて,自由にデザインすることが許されているのが,OZであり,仮想世界なのです.そこでは,好きな動物にもなれるし,空想上の何かになることもできます. 何にでもなれてしまう.とてもいい感じです.しかし,ここでちょっと考えてみましょう.自分の身体が自分以外というか,ヒトのかたちではなくなるというのは,どうゆうことなのでしょうか.例えば,チェコの作家フランツ・カフカは『変身』という短編小説を書きました.小説の書き出しはこうです. ある朝,不安な夢から目を覚ますと,グレーゴル・ザムザは,自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫に変わっているのに気がついた.甲羅みたいに固い背中をして,あおむけに寝ている.頭をちょっともちあげてみると,アーチ状に段々になった,ドームのような茶色の腹が見える.その腹のてっぺんには毛布が,ずり落ちそうになりながら,なんとかひっかかっている.図体のわりにはみじめなほど細い,たくさんの脚が,目の前でむなしくわなわなと揺れている.(p.32) ...