見ているモノは触れているモノか?(1)

自分の興味が「カーソル」に向かっているので,以前,英語で書いた‘What You See is What You touch?’ を(少しずつ)訳してみる.このテキストは,名古屋大学で行われた第4回感覚設計国際シンポジウムで発表したものです.
--
アナログ的コミュニケーションに関してわれわれは,情報理論や論理階型理論に相当する,形式理論を何一つ持っていない.この事実は,論理と数学の特殊化された世界を離れて,自然界の事象とまともに向き合おうとするわれわれにとって,たしかに大きな障害である.自然界では,純粋にデジタルなコミュニケーションというのは,純粋なアナログ・コミュニケーション同様,めったに起こりはしないのだ.(p.396)
精神の生態学:改訂第2版,グレゴリー・ベイトソン
これは,グレゴリー・ベイトソンの言葉である.ベイトソンが提起しているのと同じ問題が,ユーザ・インターフェイスでも起きているのではないかということを,私は考えたい.コンピュータはデジタルである.コンピュータは形式論理にコントロールされている.しかし,ヒトは純粋にデジタルな存在ではない.デジタルというよりは,かなりアナログだといえるかもしれない.だとすれば,インターフェイスは「純粋なデジタル」なコンピュータがアナログになり,かなりアナログなヒトがデジタルに近づく場所になるべきなのである.なぜなら,このコンピュータとヒトというふたつの項がコミュニケーションを行う場がユーザ・インターフェイスであるからだ.

このブログの人気の投稿

インスタグラムの設定にある「元の写真を保存」について

「サブシンボリックな知能」と Doing with Images makes Symbols

デスクトップ・メタファーと「ディスプレイ行為」 

画面分割と認知に関するメモ

マジックマウスの慣性スクロール / Magic Mouse Scroll with momentum.

ヌケメさんとのトークメモ

マウスとカーソル:カーソルによる選択行為

2046年の携帯電話と2007年のスマートフォンのあいだにある変化(1)

[インターネット アート これから]の「これから」を考えるためのメモ_06

2021~23年度科研費「生命の物質化・物質の生命化に関する理論調査と制作実践」成果報告会