ジョルジョ・モランディ展@兵庫県立美術館
モランディは影のつけ方とかを物理世界の認識を細かくパラメータ化して,その値を細かく変化させて描いたと考えると面白い.そして,パラメータの値が物理世界の閾値を超え得てしまうことがもっと面白い.見えているものが真実だったけれど,描くことは見えていることを超えたパラメータ設定ができる.絵を色の塊とみなして抽象化にいくのではなく,あくまでも物理世界と緊密な関係をもったパラメータの集合とみなすことで具体にとどまりながらも,しばしばパラメータの値が物理世界の閾値を超えてしまって抽象的な表現も生まれていた.晩年や制作の危機に陥ったときには,パラメータは物理世界を振り切ったというか,物理世界が物理世界であることを示す輪郭が揺らいだようになっていた.
そんなことを考えたのは,モランディを見ながら谷口さんとか永田さんなどの3Dシミュレーションを使った作品ことを意識していたからでした.最初はモランディにあまり興味はなかったのですが,見ているとどこか「3Dっぽい」感じして,それからはもっぱらモノと影の関係に引きこまれて,とても楽しく見ていました.最後には図録も買ってしまった.