メモ:ヒトの行為は平面に対してのみ行われている
5個の点が,5本の指を表している.この点を操作する指の動きは,iPadのディスプレイのガラスの上で,粘土をこねるような力を加えているようにみえる.ここには,平面と立体とのあいだで生じる移行に関する不思議さがあるように思える.
ヒトはディスプレイの中には入り込めない.どうしても,ディスプレイの表面の二次元に留まらざるを得ない.その際に,ヒトは自らの身体の一部を,ディスプレイ上のイメージに置き換える.今回の映像では,5本の指を5つの点に置き換えている.正確には,5つの指の「先」を5つの点に置き換えている.指の「先」だけで「粘土」みたいなイメージを「こねる」.その際に,iPadという平面的なものを傾けたりすることで,ディスプレイ上の立体物のイメージを動かす.平面的なものに触れたり,動かしたりすることで,立体的なイメージを操作する.それが最終的には,3Dプリンターで立体的なものになる.
ヒトの指はもともと立体なものだが,それが平面上の点になり,そこでの行為が立体を生み出す.この時,行為の「結果」は平面と立体とのあいだを移行しているが,ヒトの行為は平面に対してのみ行われている.ここに不思議な感覚を覚えるのである.