メディア映像史 (2023年度水野担当分)の授業資料

今年度も愛知県立芸術大学のメディア映像専攻で「メディア映像史」を担当しました.15回中5回を「インターフェイスとともに考えるメディア映像史」という感じで,インターフェイスの歴史を振り返りました.

エクリでの連載「インターフェイスを読む」や『UI GRAPHICS』で書いてきたことを,今の自分の関心に沿って書き直しながら授業資料をつくっていくと,「インターフェイスの歴史はヒトとコンピュータの複合体がデジタルオブジェクトの検出可能性を高めてきたもの」という視点で改めて読み解いていくことになりました.その結果,以前にはなかった視点が多く出てきました.

メディア映像史 (2022年度水野担当分)の授業資料 


上に書いたように昨年度デジタルオブジェクトを検出することを大きな目的としたけど,今年度は「検出」されるものではなく,「デジタルオブジェクトは感じられる」ものとしました.そして,ヒトがインターフェイスを介して,デジタルオブジェクトをさまざまに感じていくと,存在の根源である情報の一状態としての「情報体 Information Gestalt」とのリンクが,ヒトとコンピュータとのあいだに生じるのではないだろうかという問いで,授業資料を大幅に書き換えていきました.その結果,だいぶわかりやすい感じで全体を修正できたと思う.

「わかりやすい」というか無理のない感じになったと思う.デジタルオブジェクトという見えている,触れているものを「検出」するという言葉で語るのは無理があったけど,「情報体」は見えないし触れ得ないので「検出」するという言葉がフィットすると思う.でも,テキストでは書けても,実際に授業で口頭で説明するとなると,うまくできなったところが多かったと思う.だから,まだ「情報体」とは何かということは考えられていない.デジタルオブジェクトを感じ続けた先にある何かでしかない.

今年度の愛知県立芸術大学メディア映像専攻は学生がみんな女性で.共学だけれど女性しかいないというのは,女子大とは別の感じがあったような気がします.授業終わりに「お疲れさまでした」と言われたのが,うれしかったです.最後の授業を体調不良で行けなかったのが残念でした.関口先生,ありがとうございました🥸

メディア映像史 (2023年度水野担当分)の授業資料

このブログの人気の投稿

「グリッチワークショップ」を見学して考えたこと

マジック・メモ:行為=痕跡=イメージの解体可能性

あのマウスカーソル邪魔じゃね?

インスタグラムの設定にある「元の写真を保存」について

お仕事:ヒューマンインターフェースの歴史 :「よくわからない」から、身体で感じるコンピューターへ

デスクトップ・メタファーと「ディスプレイ行為」 

「サブシンボリックな知能」と Doing with Images makes Symbols

2023年の振り返り👀✍️

画面分割と認知に関するメモ

2021~23年度科研費「生命の物質化・物質の生命化に関する理論調査と制作実践」成果報告会