Width: 700px; Gallery で
Michael Bussellの個展《Original Copy》が開催されている.《Original Copy》は2012年の作品であるが,今回のオンライン展示に合わせて再解釈され,作りなおされている.
Bussellのウェブサイトの《Original Copy》のページにいくと作品の画像が展示してあり,画像のタイトルをクリックするとPhotoshopのファイル「PSD」をダウンロードすることができる.Busselは展示されている画像そのものではなく,ダウンロードした画像を編集してもらうなどのインタラクションにフォーカスが移ってきていると考えている.そして,Bussellはこの考えをWidth: 700px; Galleryの展示で自らの作品を改変することで実践している.
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Bussellのウェブサイトの《Original Copy》のページにある画像 |
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Width: 700px; Galleryでの展示 |
Bussellの考え方自体は作品を見るためには「PSD」ファイルをダウンロードしなければならない「
The. PSD Show」や展示作品を改変可能でネットにアップした展覧会「
new jpegs」などにも通じることがあり,ポスト・インターネット的状況においては「当たり前」となった考え方といえる.
ここで注目したいのはBussellの作品タイトルに使われた「オリジナル」と「コピー」という言葉である.Bussellが書いているように,Photoshopは現在の暗室のような存在であり,そこで使用される「PSD」ファイルは写真の「ネガ」のような「オリジナル」的存在である.しかし,その「オリジナル」は劣化なしで「コピー」可能である.Bussellの《Original Copy》ページから「オリジナル」の「PSD」ファイルをダウンロードした場合,それはデータ的には「オリジナル」な感じがあり,心情的には「コピー」という感じがする.ファイル形式が「JPEG」ならそれはもう「コピー」という感じになるが,「PSD」だと微妙な感覚である.
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Width: 700px; Gallery |
Width: 700px; Galleryでの展示は会場に合わせて低解像度の画像が展示されていることもあり,5つの展示室を連続して見ているとそれらはつくり直した作品というよりはコピー作品という感じがしてくる.5つの展示室を抜けて最後の部屋にいくと5つの「PSD」ファイルのアイコンが展示されている.それをクリックするとBussellのページにあるのと同じ「オリジナル」の「PSD」ファイルがダウンロードできる.そうなると画面上の見え方が様々ではあるが,【「PSD」ファイルのアイコン】がオリジナルであるような感じがしてくる.この感じは少し違うかもしれない.ダウンロードするだけならば画像のタイトルを示す「文字」でもいいわけで,実際,今回の展示でもアイコンをクリックしたあとにはダウンロードのための「文字」が出てくる.なので,最終的には「文字」をクリックして,「オリジナル」のデータをダウンロードしている.
このように考えたあとに5つの「PSD」ファイルを見ていると,これらが「オリジナル」とも「コピー」とも言えない雰囲気をもっているような感じがしてくる.「オリジナル」に最も近い存在でありながら,単にデータを呼び出す画像でしかないアイコン.「オリジナル」を呼び出しながら,その画像そのものがデータの「コピー」的存在だとも考えられる.アイコンが呼び出しているのは何なのだろうか? そして,それらを呼び出すアイコンという存在は何なのだろうか?