【記録】画廊放浪記 #15|エキソニモ『CONNECT THE RANDOM DOTS』|エキソニモ×水野勝仁×高尾俊介

 

「【Live配信】画廊放浪記 #15|エキソニモ『CONNECT THE RANDOM DOTS』|エキソニモ×水野勝仁×高尾俊介」でトークをしました.

トークでエキソニモの千房さんが言っていた「情報=生,ランダム=死」という言葉が興味深かった.千房さんが今考えていることらしい.時間の関係で説明はなかったけど,私は私はランダムがオンオフ=あるなしの羅列で,ランダム自体が「生と死」と考えていたので,「情報=生,ランダム=死」は興味深いと思いつつトークを聞きながら,「情報=生,ランダム=死」は「秩序のあるなしかもしれない」と思った.

エキソニモの作品についての話,高尾さんのGenerativemasksとNFTについての話を興味深く聞いて,勉強になったし,刺激になった.議論はほぼNFTについてだったけど,インターネットヤミ市とNFTとの関係をエキソニモに聞けてよかった.

自分のトークの資料です.


トークに向けて色々と考えたメモと当日のメモ
  • [[October 23rd, 2021]]
    • インターネットヤミ市とNFT
      • インターネット的な価値を売買するという点は同じかもしれない
        • ポストインターネットと呼ばれた状況も,インターネット的な価値をいかにアートマーケット=リアルなシステムに位置付けるかの問題
          • 足りなかったのはビットコインのようなデジタルな貨幣だった?
            • インターネット価値を交換するのにリアルな法定通貨を使うしかなかった
              • インターネット的な価値を価値づけを永続させるデジタル貨幣が存在していなかった
    • インターネット自体の不安定さがランダム
      • ブロックチェーンの安定?
    • コメント
      • 情報=生,ランダム=死
        • ランダムを引き受ける覚悟👉運命論
          • ランダムを引き受ける=死を引き受ける
        • 千房さんが最近考えていること
          • 私はランダムのオンオフ,あるなしが生死かと思っていた
            • 秩序のあるなしかもしれない
      • やえさんの線を引いた感想
        • コンピュータ怖い,ランダム怖い
        • コンピュータにダイレクトにインタラクションした感じがある
      • エキソニモはNFTで何が起こるかを知りたい
        • インターネットヤミ市のように何が起こるのか?
  • [[October 17th, 2021]]
    • 展示を見てきたので追記.
      • コンピュータによってランダムに記された点は「人間による解釈・意味付与・物語化」を寄せ付けないわけではないが,難しい.点と点とを結んだ線とその集積を見ると「人間による解釈・意味付与・物語化」はすぐにできてしまう.線の引き方をよく見るとそこにあらたな意味が生まれる.そして,書籍に書かれたランダムをめぐるテキストは「人間による解釈・意味付与・物語化」の最たるもので,とてもエモーショナルなものであった.《The Kiss》から続く,エキソニモのエモーショナルさがあった.書籍のエモーショナルさと比べると,ランダムに点を打たれただけのページは《FragMental Storm》や《DISCODER》に通じるソリッドさとやりすぎ感=コンピュータのコンテクスト抜きの情報処理によるヒトの敗北があった.点と点と結んだドローイングは,《断末魔ウス」のような複数の世界を跨ぐ解釈を引き出すものだった.
    • 仮想世界と物理世界とをつなぐ点
      • NFTのプロジェクトとすることで,作品において発生しいた仮想世界と物理世界との重ね合わせが,作品の購入のプロセスに移ったのかもしれない.
        • プロジェクトでページの所有権を購入するとなっているのだけれど,ページを決めるときに考えることがドローイングを飾ることであった.
          • {{pdf: https://firebasestorage.googleapis.com/v0/b/firescript-577a2.appspot.com/o/imgs%2Fapp%2Fmmdatabase%2FkPxuBYL3a7.pdf?alt=media&token=96d0c7bf-15d3-4d56-9698-7350c5a9f435}}
      • 断末魔ウスは物理的な点は軌跡をコンピュータの論理的なオンオフの点で記録して,ヒトの解釈を被せて,意味をつくる
        • エキソニモ作品の特徴のひとつにヒトの意識・認識を「巻き込むこと」があると思う.その作品を前にすると,そのようにしか見れない,考えられないということ.デジタル世界と現実世界とを切り結ぶただひとつの出来事して作品が現に存在している.
          • 「唯一」と「全一」とが互いに異なり絡み合っているのが,ブロックチェーンなのかもしれない.では,エキソニモ作品における「点」はどうだろうか.例えば,Click and Hold (series)で、仮想世界と物理世界とを切り結ぶ点=座標に釘が打ちつけられている.座標はデジタルではなく物理世界という「唯一」の世界でキャンバスを貫いて,重力によってキャンバスを傾ける.同時に,その点はプログラムによって「一つだけ」決定されたものである.「一つだけ」ランダムに決定された点自体は,釘で打たれることで,現に物理世界にあるものだが,デジタル世界も含めた世界が「一つだけ」ということを示すかのように存在している.「ように」と書いてしまったので,ここは解釈した別の世界が存在してしまっているのか.
      • 点と点とを結んでも,解釈が生まれにくい.書籍のエモーショナルさとの対比.
        • エキソニモの作品はまだ見ていないのでわからないけれど,ランダム=論理的運命論に対して,[[NFT]]というシステムを使って「人間による解釈・意味付与・物語化」を与える作品なのではないだろうか.だとすれば,今回の作品も今までのエキソニモの作品の系譜にあると言えるだろう.ただ今回の「人間による解釈・意味付与・物語化」は,ランダムに打たれた点の存在そのものに与えられるのではないか,点の存在そのものを肯定するための「人間による解釈・意味付与・物語化」なのではないかということである.そして,ランダムな点を結ぶ「人間による解釈・意味付与・物語化」は,点の存在とは別のレイヤーでまさに物語として与えられるのではないだろうか.
    • ブロックチェーンにおけるTRUSTLESS
      • インターフェイスて考えたことだか,ヒトは複雑な行為をやりすぎていたのかもしれない.手はアルゴリズムに行為を委譲した.魚住さんが書くように「信頼」もコンピュータシステムに委譲してしまってもいいではないか! そこから生まれてくる価値があるはず!
      • 信頼のもとでの共有から信頼なき共有へ
        • 信頼のあるなしではなく,契約書をつくるコストの問題かもしれない.信頼をつくるための契約書.
          • RR: 最初に聞いたのは、このシステムを考案したケビン・マッコイでした。というのも、私は独自のシステムを持っていたからです。シングルサービングのウェブサイトで、それぞれの作品を独自のドメイン名で提供していました。[[NFT]]への移行を躊躇していましたが、多くの友人に勧められ、試してみようと思いました。驚いたことに、[[NFT]]はとてもうまくいっています。自分でも驚くほどうまくいっていて、エネルギーと興奮を与えてくれています。
          • Rafaël Rozendaalももちろん参入している。ウェブサイトをアートオブジェとして販売し、契約書をオープンソースのドキュメントとして公開するという彼の試みは、ある意味[[NFT]]の先駆けとも言えるだろう。そんな彼の[[NFT]]作品は、ミニマルな正方形のループイメージのシリーズ。彼の作品の代表的なスタイルの延長にあるものである。習作のように展開されるストイックなその連作は、時を隔てて、このオンライン常に息づく新たなボキャブラリーを作り出そうとしているようにも思える。
  • [[October 9th, 2021]]
    • ランダムと点
      • ^^ランダムな点が示すものの変化.解像度に基づく座標,[[NFT]]という位置時刻における所有の証明?^^
        • 点=dot であることが重要
          • 確率的存在としての点
            • 集合としての点
              • 点を結びつけると線になる
                • 点であることの意味を考える
                  • 論理的運命論における複数の出来事のあいだの連鎖の断ち切り=点
                    • 複数の出来事のあいだの連鎖を断ち切っているからこそ,点をランダムに打つことができる
                      • 点をランダムに打った後で点を結び=出来事の連鎖をつくる
                        • WaveNetは、オーディオ信号の生の波形を1サンプルずつ直接モデル化することで、このパラダイムを変えます。より自然な音声が得られるだけでなく、生の波形を使用することで、WaveNetは音楽を含むあらゆる種類のオーディオをモデル化することができます。
                        • トレーニング時には、人間の話者から録音された実際の波形を入力シーケンスとします。学習後、ネットワークをサンプリングして合成音声を生成することができます。^^サンプリングの各ステップでは、ネットワークが計算した[[確率]]分布から値が引き出される。この値は入力にフィードバックされ、次のステップの新しい予測が行われる。このように1ステップずつサンプルを積み上げていくのは計算量が多いのですが、複雑でリアルな音声を生成するためには必要不可欠であることがわかりました。^^
  • [[October 8th, 2021]]
    • [[NFT]]とランダムを考えるために
      • デジタルデータは無限に複製できるため希少性がないといわれてきた.デジタルデータの送信は実際はデータの複製にすぎず,送信元にもデータが残る.このため,デジタルデータであるデジタル貨幣の創造は不可能だと考えられていた.支払いに使った後もデジタル貨幣であるデータは支払人の手元に残るため,無限に使い続けることができる.この二重支払い問題を回避するため,電子決済には第三者機関の仲介が不可欠とされてきた.仲介事業者が支払人の口座を監視して支払額相当の資金を所有していること,資金が他の支払いに使われていないことを保証するのだ.現金決済には対面という物理的制約がある一方,電子決済には第三者機関の仲介が必須という制約がある.p. 145
      • サトシ・ナカモトはデジタル希少性の発明に成功した.ビットコインとは,従来のデジタルの常識を覆す複製不可能なデジタルデータ,つまり,史上初の希少性を持つデジタルデータである.メールやテキストメッセージの送信,ファイルのダウンロードなど,ネット上のある場所から別の場所にデータを移動することは正確には移動ではなく複製だ.データは移動元に残るので,無限に複製を繰り返すことができる.ビットコインは移動にともない移動元から消失する史上初のデジタルデータである.p. 153
        • ビットコインはデジタル希少性の最初の事例にとどまらない.ビットコインは絶対的希少性の最初の事例でもある.総供給量があらかじめ決められ,これを上回る供給はどうやっても不可能な財は(デジタル,非デジタルを問わず)他にない.ビットコインが誕生するまで,希少性とは常に相対的であり,絶対的希少性は存在しなかった.物質の量は有限で絶対的に希少であるという主張はよくある誤解だ.供給量が限られているのは,その物質の生産に投入される人間の時間と労働力の問題で,物質の絶対量が有限だからではない。人間が時間と労力を提供すれば,どんな物質の供給量も増やせる.唯一の例外がビットコインだ.絶対的希少性を持つビットコインの期間の市場性は非常に高い.p. 153
          • デジタルの絶対的希少性とランダム
            • エキソニモのランダムを用いた初期作品はサイエンスでもなく,上に書いたようなアートでもないような第三項にあると考えられる.エキソニモはサイエンスの一つの成果であるコンピュータが作る「ランダム」を軸にして,アートとサイエンスとを行き来しつつ,まったく別の場所にたどり着いていたのではないだろうか.哲学者の入不二基義は『あるようにあり,なるようになる』という運命論についての著書で,運命論を「解釈的運命論」「因果的決定論」「論理的運命論」の三つに分けて考察している*5.「解釈的運命論」は運命を人間の解釈現象とみなし,「因果的決定論」は運命を人間を超えた客観的な自然現象とみなすものであり,前者はアートに,後者はサイエンスに該当すると言える.しかし,エキソニモの作品はランダムを使うことで「解釈的運命論」「因果的決定論」に共通する「複数の出来事のあいだの連鎖」を断ち切っている.作品で起こることは人間の解釈の結果でもなく,身体を起点として生じる絵筆と絵具のあいだの物理法則に基づいたものでもない.エキソニモの初期作品はコンピュータの論理が決定するランダムに基づいており,それは「複数の出来事のあいだの連鎖」を持たずにただ一つの出来事が起こるか起こらないかしかない「論理的運命論」にもとにある.しかし,《FragMentalStorm》が示すようにランダムに完全に委ねるわけではなく,「入念な調整が行われたランダム」という論理に解釈が入り込んだ作品となっている.^^エキソニモはデジタル表現の二層構造の裏面に「論理的運命論」を採用し,作品の大枠はランダムとしながら,表面に人間の解釈に基づく「解釈的運命論」を招き入れて,いわば運命を二枚使いした作品を制作していると言える.だから,エキソニモの作品はアートとサイエンスの間でゆらゆらと漂いながら,コンピュータ的な論理が裏面に張り付いた「奇妙な人間っぽさ」を示すのである.^^そして,このランダムを引き受けた「奇妙な人間っぽさ」は,エキソニモがNYで活動するなかで表面に出てくることになる.
              • ^^エキソニモのランダムな点はカーソルで指差すときは重力で物理世界と仮想世界とを突き通す.[[NFT]]のときは価値とコレクターとを切り結ぶ? 歴史のなかの点となる?^^
                • ^^ランダムな点が示すものの変化.解像度に基づく座標,[[NFT]]という位置時刻における所有の証明?^^
      • しかし,これまで,社会経済のデジタル化というパズルを完成させるのに必要な最後のピースが欠けていた.そのピースが貨幣と価値の異動である.情報通信技術の発達で地理的製薬と政府規制から解放されたものの,支払決済は依然として政府および政府が実質支配する銀行の厳しい管理下に置かれたままだ.政府支配下にある独占事業のご多分に漏れず,銀行は長年にわたり顧客利便性より自行利益を優先してきた.しかし,経済のグローバル化で,銀行のような政府独占事業はただのお荷物と化した.デビッドソンとリース・モッグは1997年時点で,社会経済のデジタル化パズルを仕上げる最後のピースである新しい貨幣を驚くほど正確に予言していた.暗号学で安全性が担保され,物理的制約を一切受けない,政府による差し止めや没収が不可能な貨幣と表現している.本の出版当時には突飛な予言であったが,この新しい貨幣は現在,世界中で数百万人に利用されている.しかし,この貨幣の重要性を理解する者はまだ少数だ.p. 176
        • ラファエル・ローゼンダールの試みの最後のピースを埋めるビットコイン
          • https://www.newrafael.com/
            • Rafaël Rozendaalももちろん参入している。ウェブサイトをアートオブジェとして販売し、契約書をオープンソースのドキュメントとして公開するという彼の試みは、ある意味[[NFT]]の先駆けとも言えるだろう。そんな彼の[[NFT]]作品は、ミニマルな正方形のループイメージのシリーズ。彼の作品の代表的なスタイルの延長にあるものである。習作のように展開されるストイックなその連作は、時を隔てて、このオンライン常に息づく新たなボキャブラリーを作り出そうとしているようにも思える。

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