紀要論文「クリーンな色面に重ねられたテクスチャが生み出すあらたなマテリアル」が掲載された「甲南女子大学研究紀要第53号 文学・文化編」が刊行されました.この論文は1月にG/P galleryで開催された開催された写真家・小山泰介さんと編集者・塚田有那さんとのトーク準備を兼ねて書いたものです. トークの告知記事→ 「Generated X [生成されたX]」の気配 紀要論文の冒頭です. 本論文は,ラファエル・ローゼンダールの作品と小山泰介の写真を参照しながら,コンピュータと物理世界とのあいだに現われるあらたな表現の可能性を考察していくものである.ローゼンダールはベクター画像という数学的な完全さを示す画像形式を用いて,傷ひとつない色面を用いた作品をウェブに発表し続けている.しかし,ウェブ上の作品を物理空間に展示する際に,彼はクリーンな色面をあえて汚すように割れた鏡や砂を床に敷き詰める.ローゼンダールは物理世界のダーティーな状況に重ね合わせて,コンピュータ上では汚すことができないベクター画像の表現の可能性を押し広げようとしている.小山はデジタル写真で光のデータそのものを表現しようとする.それは逆説的に,物理世界のテクスチャを光の に データに の 付与することで可能になる.小山はデジタル 写真を野晒しにしたり,海に沈めたりするとともに,カメラやスキャナーを物理的に誤った操作を行なうことで, 光のデータにテクスチャを重ねていく.ローゼンダールと小山の試みは,コンピュータのクリーンさとダーティーな物理世界とのあいだにあらたなマテリアルを生み出しているのである. 英語のタイトルとアブストラクトです. A new material created by a physical texture superimposed on a clean colored surface This paper considers possibilities of expression between computers and the physical world, as seen in artworks by Rafaël Rozendaal and Taisuke Koyama. Rozendaall’s internet...