『映像学』の107号に論文「「認知者」としての作品──エキソニモのUN-DEAD-LINK展を事例に」が掲載🎉

日本映像学会の『映像学』の107号に論文「「認知者」としての作品──エキソニモのUN-DEAD-LINK展を事例に」が掲載されました🎉

論文の要旨です.

本論稿は,エキソニモがUN-DEAD-LINK展に展示した初期のインターネットアート作品の映像とモノとの組み合わせを,N・キャサリン・ヘイルズの「認知者」「非意識的認知」「認知的集合体」という言葉を手がかりに考察していくものである.UN-DEAD-LINK展に展示された初期インターネットアート作品は,その特質と言える作品と体験者とのインタラクションがない状態で展示されている.この状態は,作品を死骸や残骸のように見せている.しかし,エキソニモの言葉を辿っていくと,これらの作品はインタラクションを切り落としたとしても,別のあり方で体験者の意識に現れる可能性を持つように調整されていることがわかる.この作品の別のあり方が,ヘイルズが「認知者」と呼ぶ存在である.彼女は,ヒトを含めたすべての生物とともにコンピュータも世界を解釈して意味を生み出す「認知者」だとしている.「認知者」は認知プロセスとして「物理的プロセス」,「非意識的認知」,「意識のモード」という三つのレイヤーを持っているが,エキソニモは「非意識的認知」のレイヤーで作品の修正を行い,雑多な情報が「非意識的認知」で解釈され,モニターに「意識のモード」として現れるパターンを記録する.さらに,彼らはこの認知プロセスを記録した映像をあらたな「物理的プロセス」と組み合わせて提示し,作品が単なる物質ではなく,「認知者」として現れるようにしているのである. 
キーワード:エキソニモ,インターネットアート,メディアアート,N・キャサリン・ヘイルズ

いずれオンラインにPDFが掲載されると思います➡️jstageに登録されました:https://www.jstage.jst.go.jp/article/eizogaku/107/0/107_010705/_article/-char/ja

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