MASSAGE連載04_サーフェイスから透かし見る👓👀🤳/影のマスキングがバクルとサーフェイスとを引き剥がす
MASSAGEの連載「サーフェイスから透かし見る👓👀🤳」,第4回「影のマスキングがバクルとサーフェイスとを引き剥がす」を書きました✍️✍️✍️
今回は名古屋市立大学芸術工学部で身体の錯覚についての研究を進めている小鷹研理さんの作品《公認候補》を軸にして,下からの光が物理世界を切り取ることによって,バルクの位置付けが曖昧な空間が生まれ,そこにバルクから剥がれた「理念的サーフェイス」が生まれるということについて書いています.
また,小鷹さんの「研究」では無く「作品」にフォーカスして考えみたかったということもあります.小鷹研の研究は「からだは戦場だよ」や学会発表を通して多くの人に知られるようになりました.そして,小鷹さん個人は研究と同時に,エキソニモや永田康祐さんの作品に言及したり,小林椋さんの個展のレビューを書いたりしています.私は小鷹さんのテキストに強い影響を受けていました.そのような中で,小鷹さんが研究ではなく,作品を作成したというので,名古屋まで展示を見に行きました.そこで出会ったのが今回取り上げた《公認候補》と《ボディジェクト指向 #1》でした.《ボディジェクト指向 #1》は小鷹さんの研究とも直接的につながっている作品で,こちらは画家・評論家の古谷利裕さんが偽日記に書いています.《公認候補》は研究とは少し離れていて,ポストインターネット的な問題設定,私的には「モノとディスプレイとの重なり」の問題圏にあると考え,今回のテキストとなりました.
カワイさんのカバー画像では一枚の布がふわりと宙に浮いていて,「影」がしっかりとサーフェイスに記されています.「影」があるからこそ,それが宙に浮いていて,下のサーフェイスと関係を持っていることがわかります.そして,「影」と白い布のあいだの空間自体が「影」と白い布というふたつのサーフェイスに切り取られたバルクのようにも感じられてきます.また,下のサーフェイスもいくつか重なっていますが,そこには影はありません.それらは重なっていないのかもしれません.重なっていないとすると,そこにはバルクもないのかもしれません.