ふたつのマウスとふたつのカーソル

Googleのエイプリルフールは,Chromeのマルチタスク・モード.マルチタスクを行うために,カーソルが2個になり,4個になり,8個になり,巨大マウスカーソルまで現れます(カーソルについて考えているはずなのに,「カーソル」を「マウス」と書いてしまった.訂正します).

確かに,カーソルは画面上にひとつしかないものですが,別にひとつでなくてもいいわけです.説明の動画にもありますが,ヒトは手の50%しか使っていません.それだったら,マウスをふたつにして,カーソルをふたつにして,手をフル活用することも考えられるわけです.


マウスの開発者のダグラス・エンゲルバートは,マウスを使うとキーボードから片方の手が離れるからといって,片手で打てる五本指用のキーボードを開発したり,足でカーソルを操作できる装置も作ったりしています.
Ergonomic keyboard console
Knee brace instead of a mouse
「情報哲学」のルチアーノ・フロリディは,情報技術はコペルニクス(地球が宇宙の中心ではなくなった),ダーウィン(ヒトが動物に対して特別ではなくなった),フロイト(ヒトは自分のことすらすべてをしらないことが明らかになった)に続く,「第4の革命」を引き起こしているといいます.それはヒト中心ではなく,情報との相互作用が重要になるということです.そこではヒトという存在のあり方が変わってきているとします.その後で,例として出されるのが,上にとり上げたダグラス・エンゲルバートのお話です.

情報と相互作用するために,ヒトはひとつのマウスとひとつのカーソルを使うようになった.けれど,そこでヒトとコンピュータとの相互作用は終わりでありません.フロリディがヒトとコンピュータのインタラクションは対称(symmetric)な関係だと言い,エンゲルバートがヒトとコンピュータの共進化と言っているように,ヒトがマウスを使うようになったのであれば,今度はそれにともなって,次にコンピュータも変わっていくのです.今回は,Chromeのマルチタスク・モードでふたつのマウスとふたつのカーソルというかたちになったわけです.エイプリルフールですが…

このブログの人気の投稿

【2023~2024 私のこの3点】を書きました.あと,期間を確認しないで期間外の3点を選んで書いてしまったテキストもあるよ

インスタグラムの設定にある「元の写真を保存」について

マジック・メモ:行為=痕跡=イメージの解体可能性

始点と終点とを決めるという単純な規則に基づいた単純な行為

映像から離れていっている

出張報告書_20150212−0215 あるいは,アスキーアート写経について

画面分割と認知に関するメモ

カーソルについて何か考えたこと,または,エキソニモの《断末魔ウス》《ゴットは、存在する。》の感想

モノのフラットデザイン化とアフォーダンスなきサーフェイス

矢印の自立