100731 深夜の「平面|データ|立体」に関するメモ
平面|データ|立体 藤幡正樹はコンピュータ内のデータを中心として平面と立体とのあいだを行き来する. コンピュータの中では,データの記述が「形」を決める.それは3次元のデータを持っている.しかし,それを現実の世界に出力するには,当時は紙への印刷しかなかった.それは立体が平面に切り取られることを意味していた. データが3次元で記述されているのに出力が2次元になってしまうことに苛立ち,そのままの「形」でこちら側に引っ張り出した作品が《禁断の果実》である. 藤幡はデータの履歴を「形をめぐる探検隊が残した地図」と呼ぶ.コンピュータとともに形を探った出来事が2次元化される.それは「コンピュータに対して行われたすべての行為の時間軸を忘れさせるようなかたちで,フラットにして見せてくれている」ものである. データの記述は3次元であるのに対して,それを行うヒトの行為は2次元で記録されている.オブジェは立体になろうなろうとし,それに平面で記録されるヒトの行為が密着している. 「形」をめぐる行為と出来事は,多くの選択によって成り立っている.その行為・出来事を選ぶか,選ばないかの積み重ね.ある形が生じたとして,その形に至る選択の真偽をめぐる選択が多くの行われる.ここにはコードはない.今だ見知らぬ土地で,経験したことがない出来事が起こり,その真偽を毎回手探りで探っていかなければならない.そんな行為と出来事の履歴の集まりが平面を作る.その平面から,多くの立体が生まれる. データ(の記述)を中心として,立体と平面とのあいだを行き来するなかで,「形」が出来上がっていく. 言語というある意味1次元な連なりが3次元のオブジェを作るのだが,それはひとつだけではなく,多くの可能性のなかのひとつであり,その可能性すべての言葉のつながりは2次元の地図を構成する. オブジェクトのレベルでも,3次元で記述されたデータをそのまま3次元で出力するか,2次元で3次元のように嘘をつきながら出力するかという立体と平面との問題がある.ともに,そのオブジェには,その形へとたどり着くための地図という平面が付随している.立体は行為と出来事のレベルで平面と密着しているのである.