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5月, 2015の投稿を表示しています

テクスチャを透してモデルを見てみると:ポストインターネットにおける2D−3D_発表メモ ver.3.35

テクスチャを透してモデルを見てみると:ポストインターネットにおける2D−3D 1.偽造の惑星からGoogle Earthへ 「モデル=テクスチャ→世界」をつくるアルゴリズム 現象をコンピュータの中で構築可能な形に解釈し直す必要があるのです. 解釈の正しさはでき上がった画像の質に表れます.解釈が間違っている画像に,われわれはリアリティを感じられません. このことを裏返しに考えてみると,コンピュータの中に現象を再構築する作業とは,じつは世界をとらえるための新しい方法を研究するのと同じ作業なのではないでしょうか?(p.2)  ハイパーテクスチャー ケン・パーリン この3次元テクスチャアの考え方では,テクスチャアはただ表面のみにあるのではなく,空間全体に潜在的に拡がっているのです.表面に見える色は,じつは中身のつまった素材(たとえば木や大理石)から,たまたま切り取った面によって見えているといったほうが近いのです.(p.47)  そういう意味で,すべてのコンピュータ・グラフィックスは,なんら本質をつかんだことにはならないのかもしれませんが,まったく新しい方法を私たちが用いたことによって,対象に対する新しいアプローチが生まれ,結果的に対象そのものに対する私たち自身の認識が変わってしまうことも起こりうるでしょう.この偽造の惑星を見るにつけ,現実の惑星の見え方が,この惑星の1パラメーターの状態に見えるようになってしまうかもしれないと思うのです.(p.175)  藤幡正樹『コンピュータ・グラフィックスの軌跡』1998  [「モデル=テクスチャ」をつくるアルゴリズムをつくり,現象をコンピュータのなかに再構成する.そこにできるのはもうひとつの惑星であり,パラメーターの変化させればその惑星は地球になりうる.アルゴリズムによってモデルとテクスチャを不分離に含んだ世界そのものをつくりだす.] モデル>テクスチャ コンピューター・グラフィックスの世界には,マッピングという技法があります.これは,物質の表面の色彩をそのまま画像ファイルとして保持しておき,これを3次元の物体を構成しているポリゴンに張りつけようというアイデアです.物体の色彩を,そのままその表面からいただいてきて,つくられた形状に張りつけるわけです.これは音楽

テクスチャを透してモデルを見てみると:ポストインターネットにおける2Dと3D_発表メモ ver.2.37

テクスチャを透してモデルを見てみると:ポストインターネットにおける2Dと3D 1.偽造の惑星からGoogle Earthへ フラクタルによって生成された「偽装の惑星」ではモデルとテクステャは分離不可である.そして,初期3DCGではテクスチャは3DCGの本質ではないと考えられていた.Google Earthは現実がイメージであることを示した.ここでは3Dモデルとテクスチャとは分離した別ものだと考えられているが,それらは「密着」している.そして,その「密着」ゆえにあたらしい表象となっている. 2.ポストインターネットにおけるテクスチャと3Dモデルの分離 インターネット上のイメージやそれが作り出す空間は,もはやハッキングやコーディングによって開拓しなければならない新大陸ではない.それは単に現実を構成する一つの素材であり,素朴だがフィジカルでリアルな“物質”のような,あるリアリティをもちはじめたように思われる.(p.119)  ググっても出てこない,ぼくが知りうるネットアートについての歴史の断片,そして最近のこと 谷口暁彦 in IDEA No.366 インターネット上のイメージやそれが作り出す空間を構成する素材の解体がはじまる.その手始めとして,これまで密着していてあたかもひとつの「イメージ」として機能していた3Dモデルとテクスチャとが分離させられる. 3.テクスチャを透してモデルを見てみるいくつかの方法 立体・平面が絶対的なものでなくなり,立体は平面に包まれ,平面は立体に従って歪み・伸ばされるものになる.立体を包むために3D→2Dの座標変換が行われ,歪み・伸びた画像がテクスチャである. テクスチャの貼り方 2次元の画像を3次元のオブジェクトに貼り付けるには,その座標変換を設定しなければなりません.ここでは,この変換の方式をテクスチャの貼り方として,いくつか紹介していきます.ソフトウェアによって多少呼び名や扱いが異なりますが,基本的な考え方は同じです.いつくか用意されている投影方式からそれらの特性を十分吟味して,オブジェクト形状にマッチするものを選び,投影する軸(XYZ),大きさ,タイリングなどを決め,できるだけテクスチャの伸びや歪みなどの不具合がない,あるいは,できるだけ目立たないように調整するというのが一連の流れに

お仕事:美術手帖 6月号「ポスト・インターネット」への寄稿

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美術手帖 6月号「ポスト・インターネット」に「 世界制作のプロトタイプ 」展のレビュー 「「リアル」と「インターネット」の密着を透かし見る方法」 を書きました.「透かし見る」というのは,展示のことを考えていたら出てきた言葉です.「リアル」からかもしれないし,「インターネット」からかもしれないけど,どちらかでもそれは「もう,どっちでもいいよ」[ マテリアライジング展Ⅲ に提示されていた渡邉朋也さんのエッセイタイトル]という感じで,どちらからも透けて見えてるという状態は気に入っています.あと,今回の特集を読んでいて思ったという後出しですが,「リアル」から「インターネット」を透かした場合は,インターネットの透過光がリアルを通過するときに反射光の影響を受けるし,逆もまたあるということが思い浮かびました.こうやって,後出しでも次々に考えたことを書いていくことは重要な感じがしています. それと 「ポスト・インターネット用語集20」 を高岡謙太郎さんと一緒に書きました.ここには「 [インターネット アート これから]───ポスト・インターネットのリアリティ 」展と「 インターネットヤミ市 」ことが書けてよかったです.日本の「ポスト・インターネット」的状況を考えるときに,これらを外すことはできません.これら展示・イベントフォーマットを海外の「ポスト・インターネット」な展示などと比較することは自分的な課題でもあります.あと,「 new jpegs 」 展のところに,「 便秘をどうにかしたい!newjpegs 」という,残念な言葉を入れられたのもよかったです.もう過ぎ去ったかもしれない「ポスト・インターネット」には,この「残念な」感じが漂っていたような気がします.「new jpegs」 展がドメイン更新しないで,「便秘をどうにかしたい!newjpegs」と放置しているのは微かに残る「ポスト・インターネット」の名残りかもしれないです.

画像とテクスチャー:ポストインターネットにおける2Dと3D_発表メモ ver. 1.03

5月30, 31日に京都造形芸術大学で開催される日本映像学会第41回大会で発表をすることになっています.スケジュールはまだ来ません.学会委員が3人だけだったのでとても大変なことになっているのではなかと勝手に想像しています.そして,自分の発表も大変なことになっています.こちらは勝手な想像ではなく,とてもつよいリアリティとともに言い切ることができます! (;´д`)トホホ… −− 画像とテクスチャー:ポストインターネットにおける2Dと3D 1 藤幡正樹───世界をとらえるためのあたらしい方法 現象をコンピュータの中で構築可能な形に解釈し直す必要があるのです. 解釈の正しさはでき上がった画像の質に表れます.解釈が間違っている画像に,われわれはリアリティを感じられません. このことを裏返しに考えてみると,コンピュータの中に現象を再構築する作業とは,じつは世界をとらえるための新しい方法を研究するのと同じ作業なのではないでしょうか?(p.2) 藤幡正樹『コンピュータ・グラフィックスの軌跡,藤幡正樹』 レフ・マノヴィッチ───4種類のデータが「くっついている」あたらしい表象 メインのグーグル・マップウィンドウに現われる地球表面の表示は「3Dビューワー」と呼ばれ,衛星写真,3Dの高度データ,建物の3Dモデルと紙の地図で馴染み深いグラフィック要素(ベクターグラフィック,道路,国境などを示すテキスト)で構成される.重要なことは,その4種類のデータが「くっついている」(例えば,それぞれが直接的に重ねっている)ことである.それゆえに,4種類のデータはひとつの視覚的資料としてあらわれる.これはハイブリッドについての完璧な例である.異なった種類のメディアが集まって,ひとつのあたらしい表象をつくるのである. (p.193) レフ・マノヴィッチ『Software takes command』 2 ポストインターネット リアルとネットとを区別することなく扱う. リアルな世界とをコンピュータのなかに構築された世界とを特に区別することなく扱う. すべてがインターネットの影響を受けている. ハイブリッドな画像を日常的に接している. リアルとネットを相互に透かし見る状態 3 Clement Valla, The Universal Texture ヒトの解釈に基いてつくられたプログラムの処