「Generated X [生成されたX]」の気配

以前も投稿しましたが,1月6日から恵比寿のG/P galleryで開催される小山泰介個展『Generated X』で,写真家・小山泰介さんと編集者・塚田有那さんとトークをします! モデレーターはG/P galleryのディレクターであり,『写真は魔術』の翻訳をされた深井佐和子さんです.

このトークに向けて,「クリーンな色面に重ねられたテクスチャが生み出すあらたなマテリアル」という紀要論文を書きながら,小山さんの写真について考えました.写真家つながりということで,昨年の小林健太さんとのトーク「ダーティーなGUI」で得たアイデア「ダーティー」と「クリーン」という区分けで,小山さんの写真を考えたらどうなるのか,という感じで論文を書きました.なので,小林さんとのトークから引き続き論文にもラファエル・ローゼンダールが登場します.物理世界はじまりの写真とコンピュータはじまりのブラウザとを対比させるには,ローゼンダールがどうしても必要となってくる感じです.そして,小山さんとローゼンダールとを結びつけるのは,データにテクスチャを付与するという行為ではないだろうか,と考えました.


紀要論文の冒頭です.

本論文は,ラファエル・ローゼンダールの作品と小山泰介の写真を参照しながら,コンピュータと物理世界とのあいだに現われるあらたな表現の可能性を考察していくものである.ローゼンダールはベクター画像という数学的な完全さを示す画像形式を用いて,傷ひとつない色面を用いた作品をウェブに発表し続けている.しかし,ウェブ上の作品を物理空間に展示する際に,彼はクリーンな色面をあえて汚すように割れた鏡や砂を床に敷き詰める.ローゼンダールは物理世界のダーティーな状況に重ね合わせて,コンピュータ上では汚すことができないベクター画像の表現の可能性を押し広げようとしている.小山はデジタル写真で光のデータそのものを表現しようとする.それは逆説的に,物理世界のテクスチャを光にデータの付与することで可能になる.小山はデジタル写真を野晒しにしたり,海に沈めたりするとともに,カメラやスキャナーを物理的に誤った操作を行なうことで,光のデータにテクスチャを重ねていく.ローゼンダールと小山の試みは,コンピュータのクリーンさとダーティーな物理世界とのあいだにあらたなマテリアルを生み出しているのである.

小山さんの写真はまだ写真集とウェブでしか見たことがないので,「イメージを体感する」ことを重要視する小山さんの展示を現地で見て,その写真やディスプレイ表面及びそれらのもののテクスチャ,そこからデータのテクスチャを考えて,私のなかで「Generated X [生成されたX]」の気配を掴みながらトークに臨みたいです!

ぜひ,トークに起こしください!!!

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<展覧会概要>
小山泰介『Generated X』
会期:2017年1月6日(金)-2月26日(日)12:00-20:00 月休
会場:G/Pgallery 恵比寿(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F TEL: 03-5422-9331)
オープニングレセプション:2017年1月6日(金)18:00-20:00
主催:G/P gallery
協賛:ソニー株式会社

<関連企画:トークイベント>
日時:2017年1月6日(金)16:00-17:30
出演:水野勝仁(甲南女子大学文学部メディア表現学科講師),塚田有那(編集者/キュレーター),小山泰介
モデレーター: 深井佐和子(G/P gallery ディレクター)
座席:25席

参加費:無料
お電話かメールにてご予約ください.

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