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12月, 2016の投稿を表示しています

2016年の振り返り

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2016年にはこの投稿を含めて35本の記事を書いています.2015年が63本だったから,ほぼ半減です.来年はもう少し書けたらと思っています. 今年はMASSAGEではじめた連載「モノとディスプレイとの重なり」でほぼ毎月,モノとディスプレイとイメージとの関係を考えていました.連載の現在の流れは,「ポストインターネット」の状況を改めて考えるという趣旨からは少しズレてしまっているかもしれません.しかし,タイトルの「モノとディスプレイとの重なり」は今のアートの状況を的確に示しているような気がしています. (といっても,ディスプレイを用いた作品しか見ていない私の観測範囲内ですが…)  それでもこれまで連載が止まることなく書けるほど,ディスプレイを用いた興味深い作品がでているのは,「ディスプレイ」というメディウムを考える必要を示しているとも思っています.来年も「モノとディスプレイとの重なり」を追っていきたいと考えています🚀🚀🚀  MASSAGE連載00_「ポストインターネット」が設定したクリティカルな状況 MASSAGE連載01_ポストインターネットにおけるディスプレイ MASSAGE連載02_「光の明滅」というディスプレイの原型的性質 MASSAGE連載03_光を透過させ、データとは連動しないディスプレイのガラス MASSAGE連載04_モノと光とが融け合う魔術的平面 MASSAGE連載05_ iPadがつくる板状の薄っぺらい空間の幅 ─── 谷口暁彦「思い過ごすものたち《A.》」と「滲み出る板《D》」について MASSAGE連載06_《Empty Horizon》という「ディスプレイ」を抽出するモノ MASSAGE連載07_水平に置かれたディスプレイが物理世界のルールを上書きする───永田康祐《Translation #1》について  もうひとつ大きなテキストとしては,ÉKRITSに寄稿した絵文字😭😭😭についてのテキストです.このテキストを書くことによって,「文字を書く」という流れのなかで絵文字によって意味の流れがどのように形成されていくのかをじっくりと考察できました.これもまたインターフェイス論のひとつかなと自分では考えています. ÉKRITSへの寄稿:絵文字😂😊😱は空白をつくり、ス

「インターフェイス」は何かと何かのあいだの界面のことである

インターフェイス 「インターフェイス」は何かと何かのあいだの界面のことである.もともとは化学の用語であったが,今では「社会と大学のあいだのインターフェイス」のようにふたつ以上の物事があるところには,この言葉が多く使われるような状況になっている.しかし,「インターフェイス」という言葉から真っ先に思い浮かべるのは,ヒトとコンピュータとのあいだにある「マン-マシン・インターフェイス」や「ユーザ・インターフェイス」であろう.私たちが日々触れているコンピュータのキーボード,マウスやディスプレイ,アイコン,スマートフォンのタッチパネルは,ヒトとコンピュータとをつなぐインターフェイスであるけれど,それらをコンピュータの使い勝手を決めているものにすぎないと考えてはならない.インターフェイスはもっと大きな役割をもっているのである.スマートフォン以降のインターフェイスデザインを扱った『 UI GRAPHICS 』で,ウェブデザイナーである中村勇吾は「動きから『質感』を生み出すUIデザイン」というインタビューにおいて次のように応えている. 情報やデータという無形の世界と,人間側にある有形の世界の間には,両者をうまく取りもつインターフェイスが必要になってきて,その機能やレイアウトのデザインが「ユーザーインターフェイスデザイン」という表現になってくるわけです.(p.44) 中村勇吾「動きから『質感』を生み出すUIデザイン」 普段,私たちが意識するのはインターフェイスの「機能やレイアウトのデザイン」である.だから,インターフェイスを記述するときには「使いやすさ」や「格好良さ」という言葉が多く使われる.しかし,私たちはインターフェイスを介して,コンピュータが扱う情報やデータという「無形の世界」に触れている.中村が指摘するようにインターフェイスは情報の無形と私たちの有形の世界をつなぐ必要性から生まれたものであり,「デザイン」はそのための手段にすぎないのである.そこで,無形の世界と有形の世界のあいだのインターフェイスという観点から,ヒトとコンピュータとをつなぐユーザ・インターフェイスの歴史をみてみたい. 現在,私たちが使っているコンピュータのインターフェイスは「グラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)」と呼ばれている.GUIはディスプレイに「アイ

MASSAGE連載07_水平に置かれたディスプレイが物理世界のルールを上書きする───永田康祐《Translation #1》について

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MASSAGE での連載「モノとディスプレイとの重なり」の第7回「 水平 に置かれたディスプレイが物理世界のルールを上書きする─── 永田康祐《Translation #1》について 」が公開されました.iPhoneの上に🐸が乗っています.このことは本文と関係があります. 今回考察した永田さんの作品にはいつもクリーンさを感じていて,いつかGoogleマテリアルデザインと対比してみたいと考えていました.なので,永田さんの作品をインターフェイスのデザインに引きつけて書いています. 引き続き,よろしくお願いします😊😊😊

写真家・小山泰介さんと編集者・塚田有那さんとのトーク

1月6日から恵比寿の G/P gallery で開催される小山泰介個展『Generated X』で,写真家・ 小山泰介 さんと編集者・ 塚田有那 さんとトークをします! モデレーターはG/P galleryのディレクターであり,『 写真は魔術 』の翻訳をされた深井佐和子さんです. 年始早々のこのトークに向けて,私が論じてきた「インターフェイス」や「ポストインターネット」や「モノとディスプレイとの重なり」という枠組みで,小山さんの写真は解釈できるのであろうかと,小山さんの写真をみながら頭を悩ませています. よろしくお願いします! -- 小山泰介個展『Generated X』 会期:2017 年1 月6 日(金)~ 2 月26 日(日) 会場:G/P gallery(東京・恵比寿) 住所:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F URL:www.gptokyo.jp 主催:G/P gallery 協賛:ソニー株式会社 トークイベント 日時:2017 年1 月6 日(金)16 時~ モデレーター:深井佐和子(G/P galleryディレクター) 出演:水野勝仁(甲南女子大学文学部メディア表現学科講師)、塚田有那(編集者/キュレーター)、小山泰介 オープニング・レセプション 日時:2017 年1 月6 日(金)18 時~ プレスリリースより: G/P galleryでは2017年1月6日より、国内では3年ぶりとなる小山泰介の個展『Generated X』を開催いたします。 本展では、2016年4月にロンドンの大和日英基金ジャパンハウスギャラリーで開催し、好評を得た個展『Generated Images』で発表された『PICO』シリーズの写真と映像によるインスタレーションをアップデートして発表いたします。 近年小山は「イメージを体感する」ことを重要視しており、本展でも体験性を重視したインスタレーションが展開されます。また、『あいちトリエンナーレ2016』で発表した名和晃平との新作コラボレーション作品『VESSEL-XYZXY』や、ポストデジタル時代の抽象写真の可能性を探究した『LIGHT FIELD』シリーズなどを併せて展示いたします。 小山は2014年に文化庁新進芸術家海