手とマウスとの関係

アップルからマルチタッチジェスチャーに対応する新しいマウスが出るかもしれないという噂が出て久しいし,もうちょっとで本当にでるかもしれない.マイクロソフトも,マルチタッチジェスチャーを採用したマウスの研究成果を発表している.



マウスは「握る」ものであったと僕は考えました.それは,指と手のひらを使って「握る」ことが,ヒトにとってとても原初的な行為であって,それが,コンピュータとの対話を一般化するための初期の段階でするするとインターフェイスに入り込んできたと思うのです.コンピュータという未知のものとのやりとりにおいて,ヒトの身体は古くから行ってきた「握る」という行為に頼った.「握る」ということは,持つことでもあって,持つことは,移動することでもあってと,いろいろと応用ができます.で,もっともっといろいろなことをしたいとヒトは手の使い方,とくに指の使い方を洗練させていったのではないでしょうか.で,マウスにマルチタッチジェスチャーが採用されますと.「握る」+「触れる」ということなるでしょうか.「触れる」は,対象の危険性を判断するために必要な行為であったりするし,愛撫などで触れるということは,感情を伝えるということもあるでしょう.でも,「握る」のようにものを何処かに動かしたりという物理的な変化,目に見えるような移動とかの変化を認めにくいような感じがしています.それがどうしたということなんですが.特になんでもないことなのですが,なんか引っかかっています.で,自分の感覚だと,何かを握っているときより,何かを触れている時の方が感覚の解像度が高い気がします.触れるっていうことに基づいたジェスチャーを頻繁に行うということは,指の感覚の解像度を上げることだったり,運動の可能性を開くことになるのでしょうか.

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